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  • 平成13年度(2001年度)「日本に循環社会を構築するための政策提言」

日本に循環社会を構築するための政策提言

環境文明21では、(財)住友財団の環境研究助成を受け、「循環社会推進のための市民意識・市民社会の変革と社会経済システムの構築に関する研究」を1999年から2001年までの2年間のプロジェクトで行いました。

欧米諸国での調査を踏まえて、今後、循環社会を構築していくための方策を、①市民の意識・価値観の転換、②市民社会のあり方の変革、③社会経済システムの変革の三つに分けて検討し、このたび、具体的な政策提言として取りまとめました。


●総論

●循環社会を作るため、行政機関に実施してほしいこと(具体的な提案)

政策提言の作成に当っては、学識者、企業関係者、環境NGOメンバーなどからなる検討会を設置して検討したほか、それをもとにシンポジウム等を開催し、広く市民の意見を取り入れることを心がけました。
(検討会メンバー)
 小野 五郎 埼玉大学経済学部教授
 小林 料 東京電力顧問
 坂本 憲一 国連大学高等研究所
 レーナ・リンダル 「スウェーデン環境ニュース」発行人
 加藤 三郎 NPO法人環境文明21代表理事
 藤村コノヱ NPO法人環境文明21専務理事
(外部協力メンバー)
 中曾 利雄 ドイツ環境・廃棄物立法リサーチャー
(事務局)
 荒田 鉄二 NPO法人環境文明21
 松尾 和光 NPO法人環境文明21

日本に循環社会を構築するための政策提言

●総論

循環社会とは

地球の温暖化、生態系の破壊、廃棄物問題など、様々な環境問題が深刻化する中、環境負荷の少ない循環を基調とした持続可能な社会の構築が急がれる。

循環社会について、現状では様々な意見があり、その具体的な姿について社会的合意ができているわけではない。しかし、今回の政策提言にあたって、当検討会としては、「循環社会とは、環境面での取組みが進んだ社会であるだけでなく、経済的側面、人間・社会的側面においてもバランスが取れた社会である」と規定した。

すなわち、有限な地球環境の中で、環境負荷を最小にとどめ、資源の循環を図りながら、地球生態系を維持できる持続可能な社会であること。

また、社会経済システムにおいて、費用と便益のバランスが取れた状態にあり、市場経済においても長期的な視点が重視され、長期的なコスト負担も厭わない社会であること。

さらに、人間・社会という観点からは、一人ひとりの市民が自立し、健康で文化的な生活を営むだけでなく、自然・次世代・他の地域などとの関連性を持ち、多様な豊かさを実感できる市民社会であること。

こうした社会の実現に向けては、市民の意識・価値観が基本であり、そうした自立した市民によって市民社会が確立されれば、よりよい社会経済システムはおのずと生まれてくるものと考えられる。


政策提言の3つの柱と7つの項目について

循環社会を構築するには、まず、一人ひとりの市民が、個人としてだけでなく、地球生態系の一員すなわち地球市民としての意識と価値観を持つことが大切である。

また、そのような自立した市民がエコライフの実践など自らの生活を変革するだけでなく、日本の社会を真に民主的な市民社会に変えていくために積極的に社会に対して働きかけていくことが大切である。そして、そうした市民の参加によるNGO・NPO(Non governmental organization/非政府組織、Non profit organization/非営利組織)活動を社会的に影響力を持つものに成長させていく必要がある。

さらに、個人の意識や価値観の転換や市民社会の変革だけでなく、大量生産・大量消費・大量廃棄を前提とした現在の社会経済の仕組みそのものを循環社会づくりに役立つものに変えていかなければならない。

こうしたことから、今回の政策提言は、1)市民の意識や価値観の転換、2)自立した市民の参画と市民活動の強化、3)社会経済システムの変革、の3つの柱についてまとめることとした。

なお、3)社会経済システムの変革については、長期的な取組みが必要であること、また内容的にも多岐にわたることから、今回は循環社会づくりに向けて緊急に取り組むべきことに内容を絞り、それぞれ関係省庁、地方自治体等に対する提言という形でとりまとめた。


提言の対象

今回の政策提言の対象は、主に国や地方自治体とした。ただし、それを可能にするために、特にNGO・NPOは何をすべきか、また企業に対してどのような協力を求めていくべきかについても併せて提案した。


●循環社会を作るため、行政機関に実施して欲しいこと(具体的な提案)

ここでは、循環社会を構築するにあたって、必要と思われる政策について、1)市民の意識や価値観の転換、2)自立した市民の参画と市民活動の強化、3)社会経済システムの変革、の3つの柱について、具体的に提案する。


1 市民の意識や価値観の転換について

循環社会を築いていくには、一人ひとりの市民が一個人として生きるだけでなく、同時に地球市民としての自覚と責任を持ち、自立した精神と行動力をもって、環境に配慮した暮らしを実践したり、社会を変えるための市民活動に積極的に参加したり、環境と調和した経済活動を営むことが大切である。そのためには、行動の根底にある意識や価値観を変えていく必要があり、次のことを進める必要がある。

1)一人ひとりが環境倫理について考え、環境倫理についての議論を市民の間で広げよう

持続可能な循環社会を築くには、一人ひとりの個人が市民としての自由や権利を行使するだけでなく、一個人の枠を越えた地球生態系の一員すなわち地球市民としての自己を自覚し、その責任や義務を果たしていくことが不可欠である。そして、一人ひとりの市民が、常に「生態系」「次世代」「世界の他の地域」を意識し、有限な地球環境の中でどのような知恵と心(倫理規範)をもって生きていけばいいのかを考え、そのことについて社会全体で議論しながら、「環境倫理」としてそうした意識や考え方を広めていくことが大切である。

そのため、国や地方自治体に対して、次の提案を行う。

  1. 環境省や文部科学省はじめ関係する各省は、市民が環境倫理を考えるのに必要な基礎情報を収集・整理し、広く提供する。
  2. 国や地方自治体は、市民が環境倫理について学び議論する機会や場を積極的に提供する。
  3. 文部科学省は、教職員に対する環境倫理研修を行うとともに、学校教育における環境倫理の履修を義務づける。

こうした施策を実現するために、NGO・NPOは、環境倫理について自ら積極的に学習するとともに、学ぶ機会や場が作られるよう、行政に働きかける。また、自ら環境倫理的な考え方を市民に提案するなどPRに努めながら、議論の輪を広げていく。

また、企業は自らの企業環境倫理について明確にするとともに、それをいかに達成しているかを環境報告書などを通じて公表することが望まれる。

2)環境教育=持続性のための教育を進めよう

環境教育は、単に環境問題を意識した教育に止まることなく、広く持続可能な社会を築いていくための教育である。よって、その内容は、自然教育や環境や環境問題に関する知識の伝達に止まることなく、人間、社会、経済の持続性といった観点から広範な内容で行われるべきである。こうした持続性のための教育は、既に欧米先進国では取組みが進められており、持続性のための教育を行うにあたっての枠組みづくりを進めているところもある。

また、環境教育は、真の市民社会、民主主義社会の形成に役立つものでなければならないことから、個人の自立や社会への参画を可能にする能力を育てるとともに、自由と責任、権利と義務のバランスを基盤に、持続可能な社会形成に向けて積極的な行動を導き出すようなものでなければならない。

さらに環境教育は、体験的な教育が重要であり、特に幼児期においては自然体験を通じて自然への感性を引き出すことが大切であるが、発達段階に応じて、環境のみならず社会・経済的な問題にも目を向けた体験・参加型環境教育を進めることが大切である。

勿論、環境教育は、全てのライフステージで行われるべきである。

そのため、国や地方自治体に対して、次の提案を行う。

  1. 環境省や文部科学省は、環境教育が全ての人に対して継続的に行われる仕組みを明確にする「環境教育法(仮称)」を制定する。
    この制度では、持続可能性のための環境教育とはどのようなものかといった基本的考え方と具体的な進め方を明確にするとともに、その理念に基づき、広範な内容を体験的に指導できる指導者の育成、専門部局の設置並びに専門官の配置、予算的措置などを盛り込む必要がある。また、その制度に基づく基本計画を作成し、具体的な進め方等についても明確にする必要がある。
    なお、制度づくりにあたっては、既に環境教育を実施しているNGO・NPOを含む市民の参加を求めるとともに、政策形成のプロセスを公開し広く市民の意見を取り入れていく。
  2. 地方自治体は、国の方針に準じて、地域の特性を生かした具体的な推進計画を策定するとともに、人材の育成、専門官の配置、予算措置などを講じる。その際、縦割り的な施策を廃止し総合的な横のネットワークによる施策の転換を図る。
  3. 文部科学省は、学校教育の中で環境教育をカリキュラムに導入する。
  4. 文部科学省は、教育養成課程における環境教育の履修を義務づけるとともに、教職員に対する環境教育研修を義務づける。
  5. 内閣府は、政府広報の中で積極的に循環社会作りに向けた普及啓発を展開する。 

こうした施策を実現するために、NGO・NPOは、制度の早期成立を要求しその政策形成プロセスに積極的に関与するとともに、環境教育の実際の担い手として、専門的な知識や情報、教育手法などを学校や市民に対して提供していく。また、そのベースとなる人や地域とのネットワークを日頃から心掛ける。

また企業は、自らが行うPR活動に環境教育的視点を積極的に導入するとともに、NGO・NPOが行う環境教育活動に企業が持つ情報、人材、資金などの経営資源を提供するなど積極的に協力することが望まれる。特に、マスメディアは、市民に向けての啓発のために一定の時間を割くことが期待される。

3)市民が求める循環社会づくりに必要な幅広い情報を集め、広く知らせよう

温暖化による気象変動や環境ホルモンの影響など最新の科学的データの情報や解説だけでなく、循環社会を築くための様々な取組み事例やその背景にある制度・社会状況などに関する情報、さらには社会経済に関する情報など、広範な情報を広範なソースから収集し、広く提供していく必要がある。

また、市民の自立と社会参画に必要で、且つ市民が求める情報を公開することが大切である。

そのため、国や地方自治体に対して、次の提案を行う。

  1. 国や地方自治体は、国民や住民が理解しやすい形で情報公開を積極的に進める。
  2. 国や地方自治体は、循環社会形成に必要な科学、制度、教育などに関する国際的な情報を収集し整備する。
  3. 国や地方自治体は、国内外の循環社会形成に必要な情報を提供する情報センターを整備し、情報収集のためのネットワーク化を進めるとともに、提供先についても、必要なところに必要な情報が流れるシステムを構築する。

こうした施策を実現するために、NGO・NPOは、行政に対して必要な情報の公開を積極的に求めていくとともに、情報センターの設立・運営にも積極的にかかわる。そして、自らのネットワークにより国や地方自治体には集まらない情報を収集し、分かりやすい形で提供することに努める。

また企業は、自らが持つ循環社会形成に役立つ情報を公開したり、自社の製品・サービスの直接・間接環境影響評価情報などを公開することが望まれる。


2 自立した市民の参画と市民活動の強化について

市民社会を構成するのは、一人ひとりの市民、NGO・NPOと呼ばれる市民組織、企業、行政である。

従来の日本社会、特に第二次世界大戦以降の日本社会においては、経済成長という国家目的を達成するために最も効率の良い体制を樹立するという社会的要請から、政界・官僚・産業界を中核とする構造ができあがった。なかでも官僚組織と産業界の力は巨大化し、行政と企業さえあれば社会は動くとさえ考えられてきた。そうした中で、自立した市民の育成や社会的影響力を及ぼし得るNGO・NPOの育成は軽んじられ、こうした勢力はこれまで社会の中では付け足し程度にしか扱われてこなかった。

しかし、急激な社会の変化、特に深刻の度を増す地球環境問題に迅速に対応し、循環を基調とした持続可能な市民社会を形成するには、行政と企業を中心とした既成の社会構造に風穴をあけ、1.で述べた一人ひとりの市民の自立と参画と併せて、自立した市民が組織するNGO・NPOの新しい視点(市民性、専門性、先駆性、長期的視点)や行動力、ネットワークが不可欠である。

そして、これらを真に社会的影響力のある主体に育てていくために、次のことを進める必要がある。

(1)市民の自立と参画を進めよう

市民社会のベースは自立した市民の存在であることから、市民の自立や社会への参画に必要な情報の公開を進めることが大切である。また、市民の声が政策に反映され得る仕組み、市民が政策提言できるような仕組みを整備することが必要である。

そのため、国や地方自治体に対して、次の提案を行う。

  1. 総務省、環境省などの中央官庁は、欧米各国の事例を参考に、情報公開制度をさらに充実させる。特に環境分野に関する情報公開制度を充実させる。
  2. 主に環境省や地方自治体は、循環社会形成に必要な政策形成過程への市民の参画を保証する制度を整備する。

こうした施策を実現するために、NGO・NPOは、互いの連携を作り積極的に行政に対して働きかけていくとともに、制度を活用できるだけの能力の向上を図る。

(2)NGO・NPOを強化し、政策形成過程への参画を保証しよう

NGO・NPOは市民社会を築く上で大きな役割を果たすことが期待されていることから、自らの責任を自覚したNGO・NPOが、社会の中で市民性、専門性、先駆性そして長期的視点に裏打ちされた適切な役割を果たし、社会の一員として認知されるような基盤を整備する必要がある。そのために次のようなことを進めることが大切である。

1)公共の利益の一部を担う担い手として認め、適切な資金支援を行おう

NGO・NPOは、公共の利益の一部を担うものであることから、これらの活動に対して適切な資金が流れる仕組みが必要である。

そのため、国や地方自治体に対して、次の提案を行う。

  1. 政府、総務省、財務省、地方自治体は、税制面での優遇措置はもちろんのこと、先駆的な活動に対する助成金や補助金、さらに公共の利益の一部を担うものとして、予算がNGO・NPOにも適正に流れる仕組みを整備する。
  2. 政府、地方自治体は、行政とNGO・NPOの互いの役割について共通認識を図り、基本的な役割分担について明確にする。

こうした施策を実現させるために、NGO・NPOは、公共の利益を担うにふさわしい実力と資質を持つべく研鑚を積む。また、そもそも市民の信頼や支援をバックに活動するものであり、行政とは一線を隔した自立性を保つ必要があることを自覚し、行政からの資金的な支援だけを頼りにするのではなく、自らが活動のための資金を獲得する努力を行う。

また企業は、助成金あるいは協働(パートナーシップ)事業などの形で、NGO・NPOとの良好なパートナーシップ形成に努めるとともに、資金面で支援することが望まれる。

2)政策形成プロセスに一定要件を満たしたNGO・NPOの参加を制度的に保証しよう

循環を基調とした持続可能な市民社会を築くには、政策そのものが循環社会の理念を踏襲したものでなければならない。こうしたことから、政策形成の過程から、その実行・評価に至る全ての過程で、循環社会づくりのための活動を展開し一定の要件を満たすNGO・NPOを参加させることは、循環社会形成に大きく役立つものである。

そのため、国や地方自治体に対して、次の提案を行う。

  1. 主に環境省や地方自治体は、欧米諸国の事例を参考に、循環社会に関する政策形成プロセスからのNGO・NPOの参加を制度的に保証するしくみを整備する。

こうした施策を実現するために、NGO・NPOは、自らの専門性を生かした政策提言能力を向上させるよう努力するとともに、NGO・NPO間のネットワーク化を進め、互いに連携して制度の確立を働きかけていく。

3)行政とNGO・NPOは、その役割分担を明確にしよう

公共の利益を担う点では、行政とNGO・NPOは同じ役割を担うものである。しかし、行政は法を実施する責任と権力を持ち、政策実施に関しては多数の支持が必要であるのに対して、NGO・NPOは権力はないが、公共の長期的な利益のために、必要であれば、たとえ少数派であっても先駆的な活動を展開することができる。

こうしたそれぞれの特徴や能力に応じて、行政とNGO・NPOの間での役割分担を明確にしていく必要がある。

そのため、国や地方自治体に対して、次の提案を行う。

  1. 政府、地方自治体は、職員研修などの機会にNGO・NPO研修などをNGO・NPOと共同して行い、NGO・NPOに対する正しい認識を持つことに努めるとともに、NGO・NPOとの交流を積極的に行い、信頼関係を築く努力をする。
  2. 地方自治体は、共に公共の利益を担うものとして、社会全体の長期的な効率性・経済性も考慮し、よりよい市民社会を築くための役割分担について、NGO・NPOとともに明確にしていく。
  3. 政府、地方自治体は、資金的あるいは物的支援を行ったNGO・NPOの事業については、第三者機関によるNGO・NPOの活動を評価するシステムを構築し、事業の一定期間の後、その活動の公益性を判断していく。
  4. 政府、地方自治体は、必要に応じてNGO・NPOにその仕事の一部を移行していき、行政の適正なスリム化を図っていく。特に、環境教育の分野での移行を積極的に進める。

こうした施策を実現するために、NGO・NPOは、公共の利益を担うにふさわしい資質や能力を身につけ、責任を持って役割を果たすとともに、自らの活動を評価する仕組みを作り、常にその活動の透明性や公共性を維持することに努める。また、行政の活動に対するチェック機能を持ち、公益性の観点からの評価に努める。


3 社会経済システムの変革について

以下の7つの具体的提案については、その課題の重要性については検討会メンバー全員の間で合意を得たが、具体的な内容については今後引き続き検討が必要との認識から、各委員が分担部分についてまとめたものをメンバー全員で議論、それを最終的に事務局が取りまとめる方法をとった。

この部分については、関係省庁並びに地方自治体が、今後、政策を作成するに当って、考慮・検討してくれることを期待する。

【社会経済システムの変革についての提言の概要】

(1)環境税制体系を整備しよう → 環境省、財務省に対する提言

①純正資源課税を強化すること
:採掘・伐採・使用に対する課徴金的高課税、輸入に対する高関税、エネルギー使用に対する高率課税(炭素税を含む)。

②廃棄物抑制型税制を導入すること
:高額商品一般および容器に対する預託金制(デポジット。リファンド)、難再生・非再生製品に対する高率物品税、埋立て廃棄に対する土地使用税、排ガス・排水に対する大気・水資源使用税、ポイ捨てに対するチケット制罰金。

③奨励的優遇税制を整備すること
:緑地(家庭・農地を含む)に対する資産税等の減免、循環型投資(研究開発を含む)に対する特別償却、循環型エネルギー使用に対するエネルギー税の減免。

④公共空間使用料を導入すること
:路上駐車、路上販売・作業、携帯電話・拡声器など使用、河川・海岸停泊、屋外広告物設置。

⑤外部性の内部化を補完する販売段階目的税を導入すること
:回収・廃棄費用を生産段階で価格に内部化しえないような物品については、最終販売段階において回収・廃棄費用を消費税形態の目的税として賦課。

(2)憲法に環境条項を入れよう → 政府、国会(特に環境省、法務省)に対する提言

環境に関する条文(案)

第○○条 環境に関する権利及び義務

1 何人も、良好な環境を享受する権利を有するとともに、良好な環境を保持し
且つわれわれに続く世代にそれを引き継いでいく義務を有する。

2 国は、いかなる政策を企画し、実施する場合にあっても、良好な環境の維持
及び改善に努めなければならない。

(3)生産者にもっと責任を負わせよう → 環境省及び経済産業省をはじめとする産業所管官庁に対する提言

①廃棄物になってから自然に大きな負荷を与えたり人間の健康に被害を与えたりする恐れのある製品で、リサイクル可能な製品について、循環型社会形成推進基本法の第11条3項(事業者の責務)に基づく回収・再資源化の措置を事業者にとらせるよう、個別に適切な実施法を速やかに準備すること。

②産業形態を大量資源消費型から省資源型に変革する必要性について、消費者に対する啓発活動を実施すること。

③「ものの販売からサービスの提供へ」、「所有からレンタルへ」、「消費者の価値観を反映した商品」など、脱物質化の考え方への理解を普及させる啓発活動を実施すること。そのために、まず省内の啓発から始めること。その際、NPOとの協力を検討すること。行政+NPO、行政+NPO+企業の共同実施など、いろいろな形の協力を追求すること。

(4)グリーンコンシューマーを拡大しよう → 総務省、経済産業省に対する提言

①消費者のための環境教育と情報提供を行うとともに、活動への財政支援を行うこと。

②企業に対して、環境製品誘導施策(例えば、製品にかかわる税制、エコラベル、グリーンJIS、設備更新促進政策等)を展開するとともに、情報公開の指導、グリーンコンシューマー団体への協力支援を行うこと

③行政は、自らがグリーン製品の購入に努めるとともに、これを推進すること

(5)労働時間や働き方を見直そう → 政府、厚生労働省、経済産業省、文部科学省に対する提言

①政府、特に厚生労働省は、持続可能な循環社会づくりに向けて、労働時間や働き方を見直すことの必要性を国として明確に示すこと。

②厚生労働省は、既にワークシェアリングを導入しているオランダなどの事例を収集し、その影響、効果などの分析を環境・経済・人間など多方面から行うとともに、日本の状況に見合った導入方策についての検討を始めること。

③政府は、労働時間の削減により生じるゆとりの時間を、NGO活動に向けられるよう、NGO活動への支援策を充実させ、NGO活動の社会的役割の拡大をはかること。

④経済産業省等産業関係官庁は、企業が、労働時間、仕事に対する満足度、賃金・手当てなどに関する調査を行い、労働時間や働き方の見直しのための基礎データを作るよう奨励すること。また、企業が、労働時間・形態の見直しやワークシェアリングについて職場内での議論を進め、その必要性に対する合意形成がはかられるよう、支援すること。

⑤文部科学省は、市民が市民社会に貢献することの大切さを基礎教育の段階からに行うこと。

(6)国際的な連繋を強化しよう → 外務省に対する提言

①国連の機構を「循環社会」実現のために改革すること。

②政府開発援助(ODA)を「循環社会」実現のために活用すること。

③「循環社会」実現のために地球規模でNGOを活用すること。

(7)循環型農業を推進し食料自給率を上げよう  → 特に農林水産省に対する提言

①外務省、農林水産省および経済産業省は、WTO交渉の場において「食糧主権」の立場を明確にし、主食用農産物については自由化の対象から除外することを主張すること。

②文部科学省は、給食に日本食を積極的に導入して、健康にも良く、結果として環境の保全にも繋がる日本食の普及を図ること。また、学校教育の場において「食」に関する教育を行い、日本の食文化を継承することを通じて、食べものを大切にすることを教え、無駄に捨てられる食糧の削減を図ること。

③自治体は、消費者、外食産業、コンビニ、食品工業、農家などとの連携により、生ゴミ等の有機性廃棄物の飼料化・肥料化等を通じた有機物の地域循環システムを構築すること。また有機性廃棄物からの積極的なエネルギー回収を行い、これによって農産物の地産地消を推進するとともに、廃棄物の減量化・再資源化と農業生産の基盤である健全な土壌の維持・改善を図ること。 環境省および農林水産省は、有機物の地域内循環システムの構築を目指す自治体に対し、資金的、技術的支援を行なうこと。

④農林水産省は、各県や市町村、農業団体等と協力して一般市民にも広く農業技術を普及し、プランターや鉢の利用も含めて家庭での食糧生産(日本人の極小兼業農家化)を促進すること。 自治体は、庭を持たない市民も家庭での食糧生産に携わることができるよう、市民農園の整備を進めること。
農林水産省および国土交通省は、市民農園の整備を進める自治体に対し、資金的な支援を行なうこと。

⑤農林水産省は、NPO等と協力して援農の組織化を進めること。

⑥農林水産省は、食品企業等と協力して、食品廃棄物の飼料化技術の開発と普及を進めること。

⑦農林水産省は、中山間地域における食糧生産基盤の維持と雇用機会確保のために、自治体を支援して農業公社の設立と農地の保全を進めるとともに、農作業受託サービス会社の設立を促進すること。