会報「環境と文明」2002年3月号より転載

社会を変えるエネルギーになろう!

石 井 誠 治

●日本の文化と自然を見つめ直す

久しぶりの"かんの会"のページなので、これまでの活動を振り返るとともに今年の活動について私見を交えて紹介します。

かんの会は、今年で活動4年目に入りました。昨年は、「日本の文化と自然を見つめ直そう」という年間テーマのもとで、月1回のペースでエコツアーと勉強会を二本柱に活動しました。

エコツアーでは、3月に鎌倉(円覚寺・葉祥明美術館など)、5月は屋久島、9月京都(鞍馬・保津川など)、11月には丹沢(大山・日向薬師など)を訪れました。いずれの場所も、その土地なりの独自の文化が発達していることを強く感じました。うまく表現できないのですが、いずれの場所も「しっくりくる」という感じです。エコツアーの様子は、写真を入れた記録集にまとめ、ホームページ上で報告します。

また、勉強会では「木の文化とバイオマス」「おすしの文化」など、各自が興味を持ったテーマについて発表し、木材の利用法と効果、地域に根ざした発酵食品の発展などを議論しました。勉強会とエコツアーを通じて、私たちは、日本の自然や伝統文化に環境にやさしいライフスタイルや技術のヒントが多く含まれていることに感心しました。

●50年後の社会を思い描こう!

自然や伝統文化に学んだ昨年を振り返って、私たちは将来に対する期待と不安の両方を感じました。そこで、今年のかんの会では未来像を描くことに挑戦しようということになりました。

「みんなが思い描く50年後の日本社会」というテーマで各自が想像するものを発表し、そこから話を膨らませるのです。小学生のポスターコンクールのようですが、子供の頃に描いたものとは違ったイメージが浮かび上がってくるでしょう。私自身も50年後を考えたとき、理想の社会像と悲観的に思い描くものとでもかなり異なると思います。その両方を具体的に描き出すことで、理想の社会に近づけるためのポイントが見えてくるはずです。読者のみなさんも日常のわずかな時間にでも仲間たちとそういった話題を持ってはいかがでしょうか。

また、関心を持たれた方は是非かんの会にご参加下さい。

●世界湖沼会議に参加して

ところで、最近の私個人の活動から印象に残った話題を紹介します。私は、昨年11月に琵琶湖一帯で開かれた世界湖沼会議に出席しました。会議には世界150ヶ国以上の方が参加し、大変賑やかな会議となりましたが、会議の規模が大きすぎて少し散漫な印象も受けました。例えば、A4判300ページ程の要旨集が6冊も配布されました。これでは、会議全体を把握することも難しく、紙資源の浪費とも感じました。

もちろん、大変参考になった議論もありました。特に「市民による地域環境保全活動に関するワークショップ」は、地元の方と専門家が話し合う場となり、貴重な生の声を聞くことができました。このような姿が日常的に見られるようになれば社会を変えるエネルギーになるでしょう。

今年のかんの会では、そのように解決方法を導き出すための議論を大切にし、社会に働きかける有効な方法についても検討したいと思います。また、かんの会が、社会を変える力になる仲間がいつでも気軽に立ち寄れる場所として機能できればいいなと考えています。

(いしい せいじ/かんの会メンバー)