私の環境マニフェスト試案

08年12月10日
加藤三郎

1.地球温暖化対策の抜本的かつ戦略的強化
―京都議定書の達成と第2約束期間(2013年~)への対応―

(1)
温室効果ガス削減の中・長期目標の設定
  2020年 90年比25%削減
  2050年 90年比80%削減
(2)
地球温暖化に係る縦割り行政を解消するため、環境省の地球環境部門と経済産業省資源エネルギー庁とを統合した強力な気候変動・エネルギー省を設置する。
(3)
揮発油税等の道路財源に係る暫定税率の廃止と地球温暖化対策税(仮称)の創設
(4)
地球温暖化対策税収を当面(5年間)温暖化対策ビジネス、技術開発・商品普及の支援に配分
  • ソーラー、風力、バイオマス、小水力等の自然エネルギーの普及
  • 温暖化対応の省エネ特定商品への助成
  • 森林管理強化(林道の建設、人材の育成、機材の開発・普及など)
(5)
排出量の国内での取引制度(cap & trade)と再生可能な自然エネルギーの電力事業者による買取り制度は、09年度に制度の検討と必要な法制化を行い、10年度中に導入実施
(6)
都市内交通体系の脱・クルマ化
  • 楽しく歩ける歩道・遊歩道
  • 自転車専用道路、駐輪場の整備
(7)
住宅・ビル等の省エネ、新エネ利用促進

2.環境教育・情報提供の強化

(1)
小・中・高校での「環境科」の独立新設(生活科、総合的学習の廃止)とそれに伴う教員への研修実施
(2)
NPOの活動に対する支援の抜本強化
  • オーフス条約(「環境に関わる情報へのアクセス、決定における市民参加、及び司法へのアクセスに関する条約」)の批准と国内法の整備
  • 認定NPOの枠拡大と税の優遇
  • 認定NPOの活動に対する人件費・研修費などの助成制度の導入

3.環境を軸としたパラダイム転換のための施策推進

(1)
日本国憲法に環境原則の導入
  • 日本国憲法の前文及び条文のなかに持続可能な社会を構築するための環境原則(別紙注参照)を書き込む
(2)
20世紀型の化石燃料を駆動力として大量生産・大量消費の成長経済を良しとする文明の姿から、人や経済活動の基盤である環境の持続的維持にウエイトを置く文明、つまり「環境文明」を構築する国際共同作業を提唱し、日本がこの研究をサポートする
(3)
国際連帯税の導入支援
  • 主として途上国の温暖化対応(緩和策及び適応策)を資金面で支援するための財源、(例えば、国際航空や資金の国際移動に課金し、国連が管理)を創設する動きに、日本も積極的に協力する

4.温暖化・生物多様性等の重要国際交渉への議員・NPOの参加

(1)
重要国際会議においては、政府代表団に議員及びNPO等民間人(その選定は、官ではなく民間に委ねる)を含める
(2)
交渉経過、発言内容を会議終了後に国会に報告させる

(注)
憲法は、国家統治の基本的事項を定め、他の法令で変更することの出来ない国家最高の法規範であるにもかかわらず、現行憲法では「環境」について全く触れられていません。確かに、起草当時はその必要性は少なかったものと思われますが、現在の、地球温暖化などに代表される地球規模の環境問題の急速な悪化、廃棄物の量の増大や質の変化など身の回りにある環境問題は、私たちの今後の生存を脅かすレベルに至っています。その重大性を考えれば、今こそ、環境の保全という人間の生活や企業活動にとって最も重要な基本的事項を憲法に書き込むべき時期であり、今その努力を怠れば、次世代に大きな禍根を残すことになります。
現行憲法の三原則とされる①主権在民(国民主権)、②戦争の放棄(平和主義)、③基本的人権の尊重、と並び、社会の持続性が重要な課題となる今世紀においては、環境の保全(「環境」原則)を第四の原則として憲法に規定し、国のあり方や方向性を示す国家戦略の中に明確に位置づけるべきと考え、NPO環境文明21は、平成17年1月以来、具体的条文を提案しています。


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