東北復興応援ワークショップ ~仙台~

話題提供2「自転車の交通安全の課題」
元田 良孝 岩手県立大学総合政策学部 教授

元田良孝 岩手県立大学総合政策学部 教授

主に自転車や公共交通についてやっている。私はここ数年自転車について研究を行っているが、根底には日本の自転車の状況が非常に悪いということ、変えていかなければならないということもあるが、なかなか難しい現状である。

自転車のことに入る前に、まず、交通について考えるときは総合交通計画を考えなければならない。例えば、バスの担当者はバスのことしか考えない。しかし、全体としては市民の移動手段は様々であり、これらをミックスして考えていくことが重要である。

都市交通のなかでの自転車の役割として、二酸化炭素の排出はほぼゼロであり、環境や健康に良いという意味で有効とされている。しかし、全ての交通手段に変わることはできない。自転車は走行距離が大体5km以下を分担する乗り物と言われている。時速として、10~15km/hの速度を確保できるということで、バスと同じくらいの旅行速度で移動が可能である。自転車の利用法は駅までのアクセスと直接目的地までのアクセス法である。これは地域によって変わってくる。また、空間的な輸送効率性にすぐれている。

では他の公共交通との関係は、「競合」と「補完」どちらでもある。一方で、気象条件に左右されるということとインフラが不完全であるという現状がある。

我が国の自転車の背景として、日本は自転車大国である。日本の自転車・自動車の保有台数の推移をみると、自転車は自動車に匹敵する台数を保有している。世界の自転車の保有台数をみると中国が最も多く5億万台近く。日本はアメリカに次いで第3位で、保有台数は約9千万台である。人口当たりの台数をみると、1台当たりの人口をみても日本は約1.8人/台と普及率も高い。交通手段に占める自転車の割合の特徴として、日本の都市の自転車分担率は欧州諸都市と比べても高い部類に入る。しかし、ネガティヴな面として自転車による事故死が多いことが挙げられる。近年死者数は減ってきているが、事故死者比率は、自転車は変化していない。警察に聞いたところ、近年死亡事故は減ってきているが、これからは自転車をターゲットにしていかないと、これ以上は減っていかないという見解である。

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