東北復興応援ワークショップ ~仙台~

話題提供1「『時間切れ』となる前にすべきこと」
加藤 三郎 環境文明21共同代表

加藤 三郎 環境文明21共同代表

ここにお集まりのみなさまは、みな同じ思いを持っていらっしゃる方々だと思うため、改めてお話したいと思う。

「『時間切れ』となる前にすべきこと」とは何だろうと思っていらっしゃると思う。私自身は文字通り時間切れになってしまうのではないかと思っているのだが、そうでない人ももちろんいると思う。非常に楽観的に、人間の社会は常に難しい問題にぶつかり、そのたびに乗り越えてきた、「時間切れ」などなく、人間社会は栄えていくと考える人もいるかと思う。しかし、私自身は非常に危険な状況にあるのではないかと感じ、今日はこのことについて少しお話したい。

環境の悪化というと、日本にいる私たちからするとすぐに温暖化や化学物質、廃棄物などを思い浮かべると思う。ただ、国際的には一体どうなっているのかを図にしてみた。今年6月にリオ+20という会合があり、このために国連が用意した文書がある。その中から環境の問題ということで国連が何を問題としているかを並べたものである。

一番目は、「生産と消費」。私たちのモノをつくる、いわゆる製造業だけでなく、農業や水産業を含めて作り方、消費の仕方が持続不可能なのではないかということを非常に心配している。

それから、海洋生物資源を含む資源がこのままでは持続できない利用の仕方をしている。「温暖化に伴う気候変動」では、海の酸性度が上がっていく状況がある。酸性化が進むと、海に住んでいる魚、特に甲殻類が生育しにくい、サンゴ礁その他にも非常に影響がある。加えて、サンゴ礁にダメージが与えられると水産資源に益々影響が出てくる。「生物多様性の喪失」「干ばつ」「砂漠化」「水質汚濁」など、世界的にみて先進国も途上国も押し並べてこのような問題がある。

では環境問題だけが国際的に問題かというと、もちろんそうではなく、経済・社会面でも非常に大きな問題がある。代表的な例だが、極度な貧困状態にある人が10億人を超えて存在している。地球の人口が約70億人であるから、7分の1以上の人が極度の貧困状態にあることになる。極度の貧困状態とは、衛生的な飲み水は飲めない、食べ物も十分に食べられない、働く場がないということから、様々な意味で健康にも支障が出る。「治安」については暴力などがはびこる。そのようなところに生きている人が10億人を超えてしまう。それからひとつの姿かもしれないが、栄養不良のひとが6人に1人ぐらいいるということもある。

また「失業」だが、日本でも失業が問題ではあるが、日本の失業とはケタ違いである。先日アメリカの大統領選挙があったが、大統領選挙の行方を占うのが、失業率がどのくらいかが大きな問題となっていた。特に若年層の失業が非常に強い。日本でもそうだが、アメリカやスペインは高い失業率である。スペインは若者の5割くらいが失業している。しかもスタンフォードやハーバードといった学歴の高い若者にもどうしても就職できない人がいる状況がある。このように環境面からみても、社会・経済面からみても、世界的に問題がある。

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