• トップ >
  • 政策提言 >
  • 平成29年度(2017年度)「原発の再稼働や新型高速炉の開発ではなく、再エネや省エネの開発・普及に全力を」

原発の再稼働や新型高速炉の開発ではなく、再エネや省エネの開発・普及に全力を

認定 NPO 法人環境文明 21
共同代表 加藤三郎、藤村コノヱ

1.政府は、昨年暮れに「もんじゅ」を廃炉にするとともに新型の高速炉開発の方針を決定した。「もんじゅ」については、これまでも1兆円を優に超す国費をかけてきたが、成果は全く得られず、この廃炉には少なくとも30年余の時間と3,750億円以上の費用が見込まれると報じられている。

2.政府は、この「もんじゅ廃炉」と引き換えに、「高速炉」を開発する方針を決定したが、この炉の開発には、総額1兆円以上の新たな経費が見込まれている。

3.東京電力福島第一原発の未曾有の事故の原因究明は不十分であるだけでなく、事故の賠償費用を、新規参入する新電力にも負担させる意向と伝えられている。このことは、国民負担を強いることであり、汚染者負担の大原則に反する極めて異常な政策であると私たちは考えている。

4.一方、昨年11月には、気候変動に対処する「パリ協定」が発効し、政府自らも、温室効果ガスの排出を2030年には13年比26%削減、2050年には80%削減を決定しているが、その達成に必要な具体的で実効性のある施策は未だ示されていない。

5.そのような中にあっても特徴的なことは、将来世代にも大きなツケを残す原発への依存と石炭火力発電の推進への傾斜である。そのため、本来、必要となる太陽熱、海洋エネルギー等を含む再生可能エネルギーの大幅利用拡大のための各種投資、工場だけでなく家庭や現存のビル等における省エネ技術の普及に必要な人的資源を含む投資は極めて不十分な状況にある。「もんじゅ」の廃炉や新高速炉の開発に必要となる巨額の投資と比べると、その差は鮮明であり、日本の未来を暗くするものと私たちは考える。

6.政府だけでなく、国政に責任を有する全ての政党は、新たな原子力開発は中止し、それに替わる再生エネや省エネ政策に真摯に取り組み、「パリ協定」に沿った脱炭素社会、将来世代も含む全ての人が安心・安全に暮らせる持続可能な社会の構築に向け、新たなエネルギー政策の構築にあらゆる資源を投入することを要請する。


【ダウンロード】