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  • 平成29年度(2017年度)「トランプ大統領の気候変動対策否定の大統領令に反対する声明文」

トランプ大統領の気候変動対策否定の大統領令に反対する
声明文

1.トランプ大統領は、28日、アメリカのエネルギーの自立と経済成長を促進する大統領令に署名した。その中身は、アメリカの雇用とエネルギー生産とを害しているオバマ政権の温暖化対策としてのクリーンパワープランなど化石燃料に対する諸規制を、廃止も含め大幅に見 直すというものである。トランプ大統領は、全ての政府機関に対して、規制の効果の分析にあたっては、前政権では使われてこなかった最良の科学と経済学を駆使することを指令するとともに、温室効果ガスの社会的コストに関する省庁間のワーキンググループの解散を命じている。大統領令によれば、今回の措置により、アメリカ企業の潜在力が解放されるとしている。

2.今回の大統領令は、オバマ政権が推進していた気候変動対策の実質的かつ全面的否定であり、気候変動問題の深刻性、重大性に対する国際社会の長年の努力に対し、アメリカの雇用と経済を守るという一点からの無責任な政策の発表であり、到底容認できるものではない。

3.2001年にブッシュ政権が京都議定書から離脱し、8年間の在任中を通じて、気候変動政策に極めて消極的な姿勢を取り続けたが、その結果、アメリカのみならず日本を含む多くの国の対策の前進を妨げた。

4.その反省からオバマ政権は、積極的な気候変動政策を打ち出し、中国やインドを含む国際社会に粘り強く働きかけ、画期的なパリ協定の締結とその早期発効をもたらした。こうしてたどりついた国際社会一丸となっての対策を、アメリカ一国の化石燃料関連企業とその雇用を守ることを意図するトランプ大統領による今回の措置は、米国のみならず世界にとって取り返しのつかない結果をもたらす。

5.幸い、アメリカには、多数の優れた科学者や政治家、そして良識と勇気ある市民・NGO、メディアは健在である。私たちは、彼らとともに、トランプ政権の無責任な暴挙に対し、抗議の声をあげ撤回を求め続けるとともに、トランプ大統領の今回の暴挙に同調しようとする日本国内の一部の勢力に対しても警戒の声をあげ続ける。

2017年3月29日 認定NPO法人環境文明 21
共同代表 加藤三郎、藤村コノヱ


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