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  • 平成29年度(2017年度)「日本国憲法に「環境原則」を追加する提案」

日本国憲法に「環境原則」を追加する提案

環境文明二十一は、平成十六年七月より「憲法部会」を設け、日本国憲法(以下「憲法」)に、社会の持続性を確保するための「環境原則」を導入することについて検討してきました。その結果、第一次案を平成十七年一月十三日に発表、その後検討を重ね、同年四月二十六日には第二次提案を発表しました。寄せられたご意見を基にさらに検討を加えて第三次案を同年十月二十六日に公表し、政党、政治家はもとより、広く国民の皆様のご理解とご支援を求めるべく、シンポジウム等を通じて審議していただく場を提供して参りました。

憲法は、国家統治の基本的事項を定め、他の法令で変更することの出来ない国家最高の法規範であるにもかかわらず、現行憲法では「環境」について全く触れられていません。確かに、起草当時はその必要性は少なかったものと思われますが、現在の、地球温暖化などに代表される地球規模の環境問題の急速な悪化、廃棄物や化学物質の量の増大や質の変化など身の回りにある環境問題は、私たちの持続的な生存を脅かすレベルに至っています。その重大性を考えれば、持続可能な社会を将来世代に継承する観点から、環境の保全という人間の生活や経済活動にとって最も重要な基本的事項を憲法に書き込むべき時期であり、今その努力を怠れば、次世代に大きな禍根を残すことになります。

現行憲法の三原則とされる①主権在民(国民主権)、②戦争の放棄(平和主義)、③基本的人権の尊重、と並び、環境の脅威のみならず貧困や格差拡大など社会の持続性が重要な課題となる今世紀においては、あらゆる生命の基盤である環境の保全(「環境原則」)を第四の原則として憲法に明確に位置づけるべきであると私たちは考えます。

私たちがこのような提案を最初にしてから十二年余の月日が経ちましたが、国会においても、また国民の間でも主要な関心は相変わらず足元の経済問題に集中しているといっても過言ではない状況が続いています。

一方、その間、温暖化や生物多様性の問題は深刻の度を増し、国連や各種のサミットの場等では、その対応が国際政治の最重要な課題として浮上してきています。特に平成二十七年十二月にほとんどすべての国連加盟国は新たな気候変動対策である「パリ協定」に合意しましたが、その円滑な実施のための「脱炭素」社会の構築は、我が国にとっても極めて重要な政策課題となっています。私たちは、このような動きが示す環境問題の重大性、緊急性にかんがみ、社会の持続性を確保するための「環境原則」を憲法に追加するよう、国会で速やかに審議されますことを、再度要請します。また、この問題は全ての国民に関わる問題であることから、広く国民に呼びかけ、ともに国政に働きかけていきます。

平成二十九年六月 認定NPO法人環境文明二十一
共同代表 加藤 三郎
藤村コノヱ


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