2007年7月号会報 巻頭言「風」より

環境文明21の使命

藤村 コノヱ


5月の総会で、加藤代表理事と共に共同代表を務めることとなりました。その経緯などは前号本欄で加藤代表が書いてくれた通りですが、共同代表のメリットを活かしつつ会の発展に尽くしていきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。

新たな気持ちで活動するにあたり、日本のNPOの現状と、環境文明21の役割や使命について私なりに考えてみたいと思います。

環境NPOの現状と、それを取り巻く状況

2007年3月末現在、日本全国で環境保全に係る活動を展開するNPO(特定非営利活動法人)は内閣府の統計では8,774団体で、NPO認証総数32,552団体のうちの約27%を占めます。その活動形態は、一つの団体が様々な活動を行っているため全体としての割合は見難いのですが、実践活動が78%、普及活動が65%、調査研究が40%、政策提言が17%、と実践型が多く、当会のような政策提言型は少ないのが特徴です。また個人会員数は10~100人未満の団体が約50%、100~1000人未満の団体が26%。年間予算は0~100万円未満の団体が約58%、100~1000万円未満の団体が25%と、従来と変わらず、会員数、予算とも小規模の団体が多いことが判ります。ちなみに環境文明21の4月末現在の会員数は565名、今年度の予算額は2700万円です。

地球温暖化の確実かつ急速な進行などもあって、環境NPOへの社会的期待はますます高まっており、環境NPO仲間の会合に参加すると、皆本当に忙しく活動している様子が伺えます。しかし、前述の数字からも分かるように、環境NPOを取り巻く状況はといえば、NPO法ができたこと等によりNPOに対する社会の理解が以前より進んだものの、税の優遇を受ける資格が厳しいことや、団体数が増えたことによる会員獲得戦などもあって、依然として厳しい財政状況にある団体がほとんどです。

さらに最近は、企業がNPOを立ち上げるケースも増えており、こうした事業系NPOとの競合もあります。もともと企業は自らの事業活動を通じて最終的に社会に貢献する主体として、市民団体とは区別されていたのですが、NPO法の活動項目として、・情報化社会の発展を図る活動、・科学技術の振興を図る活動、・経済活動の活性化を図る活動などが加わったことや、株式会社を立ち上げるよりNPOにした方がメリットがあるというような理由から、ビジネスと公益の両方を目的とした事業系NPOも増えているようです。勿論こうした動きも「開かれた市民社会」のためには必要でしょうが、環境文明21のような調査研究と政策提言活動を通じてより良い社会の構築を目指して活動する団体と、ビジネスと公益の双方を目的とする団体が、NPOという同じ括りで、同じ制度・税制でいいのかなどについては、今後議論を要する重要な課題だと思います。

環境文明21のこれから

こうした状況の中、他の環境NPO同様、環境文明21の状況も決して安泰ではありません。ここ数年会員数が少しずつではありますが減少傾向ですし、大きな資金源である助成金の獲得もNPOの数が増えた分競争が激化しています。また「憲法に環境条項を」というような立法化のための活動資金は会費など自前で賄わなければなりませんし、調査研究分野では、アカデミックな大学の研究者との競合もあります。

しかし、社会の状況はますます持続不可能になりつつある中、当会がやらなければならないことは山積みです。憲法に「環境条項」を入れる活動は、日本を持続可能な社会にする基本柱を立てる活動ですが、国民投票法が成立したこともあり、今後ますます議論を盛り上げる必要があります。また、暴走傾向にある市場経済に対して、秩序とバランスの取れたグリーン経済に転換するための提案も継続する必要があります。さらに、人々に持続性の智恵を伝え呼び覚ましてもらうための普及活動も大切です。そしてこうした活動の意義を理解し、支え、一緒に活動して下さる会員・仲間を増やすことも継続的にやらなければなりません。「大きいことはいいことだ」とは決して思いませんが、やはりある程度の規模がないと、社会に訴える力にならないのも事実です。

設立以来、「会報は難しいし、やっている内容は地味でわかりにくい」と言われ続けてきました。しかし、「物事の本質を常に探究し、将来を見通す目は確かだ」という評価も頂いてきました。日本にもたくさんの環境NPOが誕生し、様々な現場で多様な活動が展開されている中、当会の役割は何かと改めて考えた場合、やはり「本質を探究し、先を見通し、社会の進むべき方向や変革を提案していくこと」に尽きると思います。

勿論社会が変化する中で、活動を財政的に継続するためには、時勢に合った手法を取り入れることは不可欠ですし、精神的に継続するためには楽しくなければ続きません。あわせて、私たちの提案をそれぞれの現場で実現していくことも重要で、それには会員の皆さんのご協力が不可欠です。幸い、関西、富山、古河に続き、広島、群馬で昨年支部が設立されましたし、千葉でもその動きが出てきています。そして今年は、こうした皆さんと一緒に、「憲法」「グリーン経済」「日本の智恵」などのシンポジウムも開催したいと考えています。

いずれにせよ、「ねばならない」ではなく、「こんな社会にしたい」という前向きの発想で、加籐代表共々気張っていきたいと考えておりますので、引き続きご支援のほどよろしくお願いいたします。

なお、今月号には2種類のチラシを同封いたしましたので、是非ご覧頂き、ご協力下さい。