- トップ >
- 政策提言 >
- 平成13年度(2001年度)「米抜きでも、日本は京都議定書を批准すべき理由」
米抜きでも、日本は京都議定書を批准すべき理由
1.ブッシュ大統領の主張は、全く根拠がない。
(1)温暖化の科学は不確かではない。
- →温暖化の科学はほぼ100年の歴史
- →IPCC(気候変動に関する政府間パネル)だけでも12年
- WGI(科学)だけでも122人の執筆責任者
- 516人の執筆協力者
- 356人の査読者
- →米科学アカデミーもブッシュ大統領にIPCCの結論を妥当と表明(本年6月6日)
(2)途上国が京都議定書で削減義務のないのは不公平ではない。
- →ブッシュ元大統領参加の地球サミットで「共通だが差異のある責任」 (リオ宣言)により、先進国と途上国の責務に差を認めている。 まず先進国が対策をとり、しかる後に途上国も削減義務の対応をとることは 世界の常識であり、大原則。
- →温暖化の原因の約8割は先進国。その先進国がまず責務。
- →米国は今でもCO2排出増加。
(3)温暖化対策が米経済に悪影響は与えない。
- →米国は世界の4分の1のCO2を排出。
- →温暖化など地球環境問題への対応は新しい技術やビジネスを創る。早期に対応を とることの経済性は多くの人の認めるところ。
- →既に温暖化の影響を受けている途上国の損害を考えよ。
2.京都議定書は、日本が議長国となって難航の末にまとめた21世紀の人類社会へ向けての極めて重要な外交文書(97年12月)。 日本が米国の主張に配慮して批准しないと、京都議定書は、実質的に「死」んでしまう結果となる。人類史上、画期的な京都議定書を、日本は自らの手で「抹殺」していいのか。
3.日本はEUとの関係で有利な交渉条件(例えば、森林吸収分の増大、排出量取引の制限撤廃など)を獲得するためか、アメリカ寄りの姿勢を必要以上に見せているようだが、この姿勢は日本がリーダーシップを発揮する時を失わせているだけでなく、世界の信頼を著しく傷つけている。この交渉方針を早急に改め、世界の温暖化対策の先頭に立つことが、多くの国民の願いである。
4.日本のなかに、京都議定書に米国が参加しないと中国、インドなどが抜けてしまうとまことしやかに語って、京都議定書を実質的に亡きものにしようと説得しているグループがいるが、この主張には、根拠がない。京都議定書の発効を強く願っているのは、温暖化のインパクトをすでに強く受け始め、また、CDM (クリーン開発メカニズム)で資金と技術が先進国から早く来てほしいと願っている途上国の筈。