持続可能な社会に向けた環境教育・学習のための
ウィンターセミナー

シンポジウムの概要

●日時
平成15年12月5日(金)~6日(土)
●場所
川崎市国際交流センター
●内容
1日目(12月5日)
講義1 「持続可能な社会ビジョンと環境経営」加藤三郎(環境文明21代表理事)
講義2 「持続可能な社会における企業の社会的責任」筑紫みずえ(グッドバンカー社長)
講義3「企業内環境教育の必要性・方向性」藤村コノヱ(環境文明21専務理事)
体験 「どこまでやるの?企業の環境教育」指導:藤村コノヱ
討議「企業内環境教育を阻むもの、そしてその解決策は?」
2日目(12月6日)
グループワーク「企業内環境教育の目標作り」指導:藤村コノヱ
グループ発表と意見交換

報告

12月5日午後から6日にかけて、「持続可能な社会に向けた環境教育・学習のためのウィンターセミナー」が開催された。加藤三郎当会代表、筑紫みずえグッドバンカー社長、藤村コノヱ当会専務理事の3人による講義が行われた後、参加者はグループごとに分かれ、ワークショップが行われた。

※この事業は、平成15年度環境事業団地球環境基金の助成を受けて開催されました。


<持続可能な社会ビジョンと環境経営>

内容:持続可能な社会のビジョンとそれを実現する環境経営の考え方について
加藤三郎

加藤三郎

環境経営とは、一般には、環境への配慮や取り組みを企業経営の最重要事項の一つとして全社的に位置づける経営姿勢である。ここで大事な点は「最重要事項の一つ」と「全社的に位置づける」である。どういうことをやれば環境経営なのかの要素は、ISOの取得、環境報告書発行、省エネ・省資源、リサイクル、ごみゼロ活動などが代表的であるが、業種や企業的規模によっても異なる。

(中略)

このセミナーでは、環境経営のいちばん新しい考え方を皆で共有したい。持続可能な社会のベースは環境教育であり、環境教育のカギはよい人材を育てていくことであると思う。

<持続可能な社会における企業の社会的責任>

内容:企業に求められる社会的責任とそれを育む企業内研修について
筑紫みずえ

筑紫みずえ

国の規制・あり方が変わる中で、そういった変化が企業に与え、企業の評価も変わっていき、お金の流れをどう動かすかによって環境問題にに貢献できるのではとの思いからエコファンドをつくった。エコファンドの背景にあるのはSRI(Socially Responsible Investment)。かつては企業には「儲かるためなら何をしてもいいんだ」という風潮があったが、儲かるために何をしてもよいわけではないということを、投資家の立場から言ってもらおうというのがSRI。以前は、このことは金融市場に意識されていなかった。

(中略)

オランダでSRI会議があったが、そういう会議に日本の企業も参加し自分たちのCSR経営をアピールすること、すなわち顔が見えることが重要だと思う。今回は日本からは経済産業省、キヤノン、リコーがプレゼンテーションをしたが、他のヨーロッパの企業とは明らかに違う。何が違うかと言うと、日本の企業は哲学・理念を話さない。新製品がこんなにも環境負荷が少ないなど、製品についての実践的・具体的な面は話すが、これからは企業の哲学を売る時代。企業の哲学というのは中堅の方は言い難いと思うので、やはりトップの方の環境教育が重要ということになる。


<企業内環境教育の必要性・方向性>

内容:持続可能な社会に向けた企業内環境教育の必要性や内容や範囲について
藤村コノヱ

藤村コノヱ

現在の世界は全然持続可能ではない。様々な活動に関わらず、実際の世界はどんどん悪くなっている。それは、環境の悪化だけでなく、子どもの非行、自殺者の増加、企業の不祥事など人間・社会的問題についても言える。これまでの活動のみではダメ、早く手を打たなくてはという危機感が出てきた。

(中略)

法律は仕組みであって中身を規定しない。今後は中身を充実させるプロセスが大切である。最後に、持続可能な循環社会は環境境域から、持続可能な企業活動も環境教育から。

<どこまでやるの?企業の環境教育>

内容:ロールプレイにより企業の環境教育の範囲(人間・社会的側面までやるか)について考えると共に、体験学習の一手法を学ぶ
指導:藤村コノヱ

ロールプレイ

参加者は「経営層」「総務部社員」「環境推進部社員」「投資家」「環境保護団体」「地域住民」に分かれ、それぞれの主張を基に企業内の環境教育をどこまで進める必要があるのかについての議論を行った。その後、企業内環境教育を阻むものとその解決策についての全体討議を行い、第1日目が終了。2日目には製造業・サービス業の2グループに分かれ、企業内環境教育の目標作りを行った。