緊急声明 「地球沸騰」時代の到来を招いた責任は、私たちにもある
1.「地球沸騰」時代の到来
- 今世紀に入って、国内のみならず世界中で、豪雨、洪水、熱波、山火事などの気象災害が頻発していたが、特に今年7月の高温・熱波は異常である。
- こうした気候危機に対する警告を発し続けていた、国連事務総長のアントニオ・グテーレス氏は、ついに、7月27日「地球温暖化の時代は終わり、新たに地球沸騰化(Global Boiling)の時代に突入した」と表明し、一段とその危機感を深め、全ての国に対して、対応の強化を訴えた。
2.このような時代の到来を許したのは誰か
- 18世紀半ば過ぎからの産業革命により、エネルギー源を石炭利用に転換して以来、大気中のCO2濃度の上昇は始まった。19-20世紀にかけて、欧・米・日を中心に、科学技術を駆使して経済成長と利便性の向上を追求し、1990年以降は中国やインドなどの新興国も加わったことから、石炭・石油・天然ガスなどの化石燃料の消費はますます増加し、それに伴いCO2濃度も上昇を続け、地球の気温も上昇の一途をたどっている。
- 1990年以降には、気候変動に関する科学的知見が積み重ねられ、2021年に公表されたIPCC第6次報告書では、人間活動が大きく影響していることに「疑う余地はない」という結論を出した。このことは、政治家、官僚、経済界、科学者、メディア、そして便利で快適に生活を求めてきた私たち一般市民、いわば、この時代を生きてきたすべての人々に、程度の差こそあれ、責任があるということに等しい。
3.子や孫に沸騰する地球を残すのか
- 実際、2022年には、3月インドで熱波(50℃超えも)、4月南アフリカで豪雨、6月日本では147年ぶりの猛暑、8月アメリカで1200年ぶりの干ばつ、9月パキスタンで大洪水、12月ニューヨークで大雪を記録。今年の夏も国内では40度近くを連日記録する酷暑が続き、イタリア・ローマでは41.8℃を記録、カナダでは過去最大となる11万㎢の森林が焼失するなどの被害が続出している。
- パリ協定以降、世界は脱炭素に向け動き出したが、現在の取組では到底この危機を乗り越えることができないのは明白である。特に、日本政府の取組は、世界の流れに逆行する石炭火力の延命や不確実な技術に過度に依存する既得権保護のための政策ばかりで、その姿勢には全く危機感は感じられず、現状のままでは、子や孫に取り返しのつかないほどの「ツケ」を残すことは確実である。
4.今生きる全ての人々の責務
- この危機的状況を脱し、子や孫に健全な環境を取り戻すには、全ての人々、中でもこのような社会の形成をリードしてきた政治家、官僚、財界人、一部専門家やメディアは重大な責任を負うべきことを自覚し、経済社会の一刻も早い転換に乗り出すべきである。それを怠れば、後世から厳しく責任を問う事態に耐えられなくなるだろう。
- そして私たち環境NPOも、その責任の一端があることを自覚し、自らが大幅な削減に向けてライフスタイルを見直すとともに、政治家や官僚、そして財界人に対しても、声を上げ、社会経済活動の大幅な転換を促すために尽力し、責任を果たす覚悟である。
2023年8月1日 認定NPO法人環境文明二十一
代表 藤村コノヱ
顧問 加藤三郎
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