1997年1月号会報 巻頭言「風」より

会は第2段階へ

加藤 三郎


1996年の日本は希望や喜びに鼓舞されたというよりは、年初の理不尽な住専処理問題の発生から年末に起こったリマでの人質事件に至るまで様々な事件がもたらした怒り、失望、悲しみなどに強く揺り動かされた年でした。そのいやなことが続いた年も、97年に替わり正月を迎えましたが、会員の皆様にとってはどのような始まりを告げる新年となったでしょうか。

幸い当「考える会」にとっては、前号の本欄でも語ったように、全国交流大会から明確に出てきたメッセージを真正面から受け止め、当会の第2段階とでも言うべき新しい動きを力強く開始する年となりましょう。

具体的には、これまでの3年余、手探りしながら一歩一歩前進し積み上げてきた各種の活動の実績の上に、環境と文明との持続的な関係を確立するため、会員のイニシアチブにより支部や部会の活動を順次開始することが強く期待されています。本誌の内容も、これらの動きを反映したものであるよう新しい企画を盛り込みます。

本号をご覧になればすぐにおわかりのように、支部や部会の設立呼びかけ文や、これらの活動状況を会員に知ってもらうための新しい頁をつくりました。また本会の会員である企業や団体が循環型社会づくりに挑戦している状況を紹介していただく頁も設けました。いずれも会員からの自発的な寄稿による誌面づくりを原則とします。これらの新しい頁が、従来の会報とは一味違った視点から日本社会の“環境と文明”の今日的課題を鮮明に浮き彫りにして下さり、会員間での情報と問題意識の共有に役立つことを期待しています。

会報のほか、インターネットを活用して、当会のホームページも開設しました。これには会員企業のご好意や会員個人のご支援もいただけることとなっています。このチャンネルにより、当会の存在と活動内容が広く内外のインターネット・ユーザーに知られるとともに、同じ方向で社会の改革を目指す新しい会員の発掘にもつながることを願っています。

このように第2段階の活動の舞台は一応準備されました。この“仏”に魂を入れることができるのは会員の皆様の積極的な参加だけです。会員一人ひとりのご参加を大いに期待するとともに、97年が皆様にとっても当会にとっても一段と実り豊かな年となることを年頭にあたり祈念しています。