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  • 平成26年度(2014年度)「気候変動対策への切り札を早急に導入すべき」

【提言】 気候変動対策への切り札を早急に導入すべき

2014年5月8日
認定NPO法人環境文明21
共同代表 加藤三郎 藤村コノエ

4月にオバマ大統領が来日し、安倍晋三首相との間で首脳会談がなされ、その成果は日米共同声明として出されている。その中身に関する日本での関心事はTPPと尖閣問題に集中していたが、共同声明そのものには、「日米両国は、温室効果ガス排出削減を促すための補足的なイニシアチブに関し、引き続き他国と共に取り組んでいく」と記された。日米共同声明にこのような文言が入ったのも、最近におけるオバマ政権の気候変動対策への積極的な姿勢が背後にある。

一方、日本では3.11以降、温暖化対策については政策的にはほとんど足踏み状態が続き、企業における削減努力が加速されるということもほとんど止まっている。一見これは企業にとって有利なように見えるかもしれないが、その代償は技術開発の遅れ、国際競争力の低下といったことで遠からず日本企業に大きくのしかかってこよう。だから、今回の日米共同声明の流れを真正面から受け止めるべきである。

私たち環境文明21は創設以来、温暖化の現実に真正面から向き合い、科学に基盤を据えて温暖化対策を進めることが環境に良いだけでなく、日本の技術開発や環境ビジネスの進展にとって不可欠であるという主張を続けてきている。今となっては、かなり遅れをとってしまった感が深いが、少なくとも次の3つの政策は今すぐにでも実施すべきことを提言する。

①CO2等削減目標の設定

政府は2050年までに、80%の削減を目指すことを正式に決めている。それにも関わらず、2020年では、90年比3%増という暫定目標を昨年末に掲げて国際交渉に臨み、多くの批判と失望を招いた。やはり、2030年、40年に向けた適切な目標を国民的な検討を重ねて早急に設定する必要がある。

②CO2に対する排出規制基準の設定

現在は全くないが、火力発電所、セメント工場、製鉄所など固定発生源からはもとより、自動車、飛行機、船舶からの排出にも規制基準を大気汚染防止法(必要なら改正して)を使い、設定する必要がある。

③規制を上手く動かすための各種の経済手法の導入

FITもその一つだが、温暖化対策税の拡充、優秀な技術に対する助成(エコポイントもその一つ)さらに、電気自動車、ハイブリッド自動車などの低燃費車に対しては、高速道路料金の無料化など大胆な施策を導入すべきである。

以上


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