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  • 平成27年度(2015年度)「【要望】環境大臣へ要望書提出」

【要望】環境大臣丸川珠代氏へ要望書提出

2015年11月27日
認定NPO法人環境文明21

共同代表 加藤 三郎
共同代表 藤村コノヱ


COP21において、世界中が気候変動問題に真摯に向き合い、確実に温室効果ガスを減らす方策と仕組みについて合意することを強く望みます。

しかし、気候変動との戦いはこれで終わりではありません。むしろこれからが本番であり、如何に確実に温室効果ガスを削減していくかの国内対策が極めて重要で、環境省こそがその主導的役割を果たさなければなりません。

日本の、2013年度比26%削減という2030年目標値が他の先進国に比して低いことは言うまでもありません。しかしこれさえも、実現するにはありとあらゆる手段を講じなければならず、並大抵のことでは実現しないことも事実です。

そこで、次のことに重点を置き、具体化していくことを強く期待します。

  1. 1.環境税・炭素税をさらに充実させ、頑張る企業や市民にインセンティブを与える仕組みを早急に構築すること。その税収は気候変動対策に充てること 平成24年度から段階的に施行されている環境税は、現在、第2段階目の税率が適用され、平成28年以降は税収約2600億円、一世帯当たり100円/月となるようですが、今世紀最大の課題解決に充てるにはあまりに規模が小さすぎます。環境省においては、長年、環境税・炭素税に対する検討を継続しており、その知恵を今こそ活かすべきです。
  2. 2.排出量取引を全国に広げ、制度導入に踏み切ること  東京都では排出量取引を導入して以来、CO2排出量も排出原単位も減少しています。いくつかの自治体でもその動が始まっていますが、それらを促進するためにも、国がリーダーシップを取り、排出量取引制度の導入に踏み切るべきです。
  3. 3.CO2を大気汚染物質とし、大気汚染防止法を適用して規制すること  アメリカでは、最大のCO2排出源である発電所の排出規制策「クリーンパワープラン」(今年8月)を打ち出しています。中国でも規制の動きは盛んです。日本でも大気汚染防止法を活用(必要ならば法改正)して、発電所、製鉄所などの大型固定発生源だけでなく、自動車、船舶、航空機などの移動発生源に対しても規制をかけるよう早急に準備すべきです。また、現在環境省では石炭火力発電所建設に対する異議を表明していますが、これは世界の潮流にも適うものであることから、今後も動きを弱めることなく継続して下さい。
  4. 4.“温暖化対策は経済に悪影響を及ぼす”と言った間違った認識を早急に払拭する広報を行うこと   気候変動時代にあっても、いまだにこうした間違った認識を持ち広めている経済人がいます。環境省こそが、デカップリングに成功している国を紹介するなどして、この認識が根拠のないものであることを説明し、積極的に説得していくべきです。
  5. 5.グリーン電力購入を促す広報・情報提供を積極的に行うこと 家庭でのCO2削減の取組として、来年4月からの電力自由化は大きなチャンスです。しかし、再生可能エネルギーなどのグリーン電力購入に関する情報は不足しており、国民の理解が得られているとは言い難い状況です。環境省としてもグリーン電力購入を促進するような広報・情報提供を積極的に行うべきです。
  6. 6.街づくりなど、自治体での取組を促進する支援策を充実させること   個人の取組には限界があり、これからは、交通システムの変更、エネルギーの地産地消など地域づくり・街づくりの観点から低炭素社会を構築していくことが不可欠です。環境省としても、低炭素社会に向けたまちづくりを促進し、その弊害になる既存の制度は変えていくなど、省庁間の壁を取り払い、横断的な政策で、低炭素社会の構築を率先すべきです。

環境税や排出量取引に関しては、既に環境省において十分に検討済みです。

さらに地域での低炭素化に向けては、NPOなども多くのアイデアを出しています。

環境行政の責任を負う環境省こそが、短期の景気回復などのために環境を犠牲にすることなく、本気で、NPO/NGOや自治体を味方に付けて、実効性ある短期的政策、中長期的政策を打ち出すことを強く期待します。

以上


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