更新日:2026年1月19日

まっとうな気候政策へキャンペーン
よくある疑問に対する論説

皆様の根本的かつ率直な質問に答える「Q&Aコーナー」です。

 
Q11: 最近の大雨や大雪、夏の猛暑や気温の急激な変化などは温暖化と関係があると言われますが、それはいつまで続きますか 
   
A11: 今の気候の異常状態は世界が温室効果ガス排出をゼロにするまで毎年より悪化しながら続きます。いったん変わってしまった気候をもとに戻す確実な手立てはまだ見つかっていませんから、気候変動は厳しくなるばかりです。世界はおおむね2050年から2070 年(今から25~45年後)までに排出ゼロにしようとしていますから、それまでは変化し続ける気候への適応に苦しむ毎年になります。そして排出ゼロにしてようやく安定化した時点での過酷な気候の下で、人類はあと数世紀生きることになります。そうならないようにするために、なるべく早く排出ゼロに到達するための削減行動を世界の人が今すぐとらねばならないのです。
(回答者:西岡秀三)
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Q10: 政府は経済政策には熱心ですが、環境政策にはあまり力を入れないのはなぜですか。
   
A10: 経済は国民一人一人の日々の生活に密接にかかわることであり、またその国の国力にも大きく関係することですから、どの国でも最も重要な政策の一つです。
そのため、それに政府が熱心なのは当然のことだと思います。それに比べて、政府が環境政策に重きを置かないのは、気候変動の進行が経済も含めた国民生活に及ぼす深刻さを十分に認識していないこと、気候変動対策が中長期的な経済や安全保障の改善に資するという面よりも、目先の経済に悪影響を及ぼすのではないかと考えていること、現在の社会経済の構造を大きく変えることなく、何らかの技術的な対応で対応できると考えているためだと考えられます。環境問題が技術的な対応で解決できるという考え方は、環境問題が過去の公害のように、特定の企業が工場の立地地域に限定した問題を起こし、それに地域的に対応するという状況下ではそれなりの説得力があったのです。
(回答者:一方井誠治・事務局)
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Q9: 日本の政策は「遅れている」と言われますが、具体的に何が遅れているのですか。
   
A9: 政策には大きく分けて、目標と、それを達成するための手段があります。日本は、他の多くの先進国と同じように、長期的には2050年脱炭素(ネットゼロ)を目標としており、その意味で目標が劣っているわけではありません。問題となるのは、それまでの道筋を決める中間目標と削減を実現するための政策手段です。
(回答者:一方井誠治・事務局)
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Q8: 日本がやっても、米国、中国、インドなどCO2排出量の多い国がやらなければ、あまり効果がないのではないですか。
   
A8: 気候変動は、地球規模の問題です。地球上のすべての国が協調して行動をとらない限り解決はできません。このため、国際的には、「共通だが差異のある原則」が合意されています。それぞれの国の過去や現在の排出量の違いや、各国が有する資金や技術の能力の違いにより、どういう対策をとるかは異なりますが、それでもすべての国が適切な対策をとっていこうという合意です。現在の排出量が多いか少ないかにかかわりはありません。対策をとらなかった国が不当に得することがないよう、対策をとった国の努力が無に帰することがないようにするために必要な原則です。
(回答者:一方井誠治・事務局)
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Q7: 日本の政府も企業も国民も、それなりの対策をとってきたように思うのですが、それだけではだめなのですか。
   
A7: 気候変動による被害はすでに現実のものとなっています。異常気象、集中豪雨、猛暑、干ばつ、森林火災、海面上昇などが世界中で頻発し、日本でも豪雨災害や猛暑による健康被害、農業・漁業への影響が顕在化しています。
実際に2025年の日本の夏はとても暑くて長いものとなりました。6月、7月は観測史上最も暑く、8月前半には「観測史上最高」を更新する42℃近い酷暑が記録されました。この酷暑は温暖化がなければ起こりえなかった、との分析を東大や京大の研究者らで作る「極端気象アトリビューションセンター(WAC)」は発表しています。気候変動の原因となる二酸化炭素などの温室効果ガスの排出がある限り地球の気温は上昇していきます。したがって現状のままではこれから毎年もっと暑くてもっと長い夏に直面することになります。
マスコミ報道では熱中症などを防ぐために適度の冷房や水分補給をすることなどは強調されていますが、気温上昇の根本原因への対策はほとんど言及されていません。根本的な対策は、世界全体で大幅かつ急速に温室効果ガスの排出を減らすことと吸収を増やすことです。つまり化石燃料への依存から脱却する脱炭素経済への移行と、温室効果ガスを吸収する森林などの保全と適正な管理が必要なのです。
こうした中、政府や企業、市民も「それなり」の対策を講じている例もありますが、現在の対策のペースと規模では全く不十分と考えられます。現在行われている取り組みでは、たとえばパリ協定が目標とする地球の温度上昇を1.5℃未満に抑えるための経路からは外れており、まっとうではない不十分な内容と言わざるを得ません。

なぜ「それなり」では不十分なのか?以下にその理由を4点述べます。
(1)温暖化のスピードが想定以上です。
最新の科学的知見(IPCC報告など)では、地球の気温上昇がこれまでの予測を上回るペースで進行しており、1.5℃目標の達成が極めて困難になりつつあります。なお、1.5℃目標が重要な理由は、添付の参考資料1で詳述しています。
(2)現行の政策は目標達成とのギャップが大きい
多くの国が掲げる温室効果ガス削減目標(NDC)は、今のところ世界全体で見ると2.5〜3℃の気温上昇に対応するもので、パリ協定の目標(1.5℃)には届きません。日本のNDCも、先進国に求められる削減目標と比べると著しく野心の乏しいものであると言えます。
(3)対策の深さ・広さが足りない
省エネや再エネ導入が進んでも、依然として化石燃料に依存した経済構造が続いており、「部分的な改善」にとどまっていることが多いのです。
(4)持続可能な社会に向けた包括的国家戦略がない
実効性がありまっとうな政策が実施されるための前提として、国家としての包括的な取組みを示す「持続可能な社会に向けた包括的国家戦略」が必要です。

上記の4点を踏まえ、石炭火力問題を中心として、日本の気候変動対策の問題点をより詳しく述べると以下の通りです。
日本の火力政策は気候変動対策に逆行し、2020年以降、石炭火力を約900万kW新設し、廃止はほとんど進んでいません。非効率な石炭火力も含めて容量市場(後述)などの対象になって温存されています。さらに今後はLNG火力を1000万kWも新設を進めようとしています。具体的には以下のような問題点が指摘できます。
(1) G7などでの合意にも拘わらず、石炭火力廃止時期を明示していない。
(2) 本格的カーボンプライシング導入を先送りしている。:GX推進法(「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律」)に基づく成長志向型カーボンプライシングでは、化石燃料賦課金の導入は2028年、排出量取引による特定事業者負担金の徴収は33年からとなっており、遅すぎる。
(3) 水素・アンモニア混焼をGXの柱にし、石炭火力の延命につなげている。:アンモニア・水素混入実証試験などへの公的資金による支援は、CO2削減効果はほとんどなく、結果として石炭火力の温存につながる。化石燃料由来のアンモニアは、20%混焼してもわずか1%程度のCO2削減効果しかなく、コストも高く、海外からの輸入に頼るので国富の流出となる。また、現在混焼は実証試験中であり、2030年にようやく20%混焼が実用化しても、気候変動対策として全く間に合わない。
(4) CCS(炭素回収貯留技術)は、実用化しておらず、回収・運搬・貯留のいずれもコストとエネルギーがかかり、実現性が乏しい。事業開始見込みが2030年からで、気候変動対策として間に合わない。
(5) 再エネの普及に様々な制度的障害があり、再エネの伸び率は鈍化傾向となっている。制度的障害の詳細については、参考資料2に記述しています。
(6) 容量市場が既存の石炭火力を延命している。:容量市場は、太陽光発電などの自然変動に対する調整力や万が一の停電などを避けるために、将来必要となる国全体の供給力を確保する仕組みとして創設された。しかし、実際には、変動電源の再エネ(太陽光や風力)は対象外とされ、落札された電源のうち4分の1が石炭火力(老朽化した非効率石炭火力も含む)、全体の7割が火力で、既存の火力や原発の温存につながっている。
なお、上記の問題点に関し、具体的にどのような対策が「必要」かについては、添付の参考資料3に記述します。

以上述べたように、現在の「それなりの対策」では気候危機を食い止めるには全く不十分であり、社会全体の構造を抜本的に見直す「変革的対策」が必要です。政府の規制・投資、企業の技術革新、国民の意識と行動の変化が一体となって、はじめて持続可能な未来が開けるのです。
(回答者:松下和夫)


Q6: 化石燃料の使用が気候危機の原因と言われていますが、安全性の確保を前提に、二酸化炭素をほとんど出さない原子力発電を進めていくことが現実的ではないですか。
   
A6: 原子力は確かに温室効果ガスを排出しないエネルギー源ですが、以下のようにいくつもの問題を抱えています。

1)原子力は持続可能なエネルギーではない
原子力発電の最大の問題は、これが持続可能なエネルギーではないということです。すなわち、燃料のウラン鉱は枯渇性の非再生可能資源であり、利用可能な量には上限があります。いつの日か利用可能な資源量は限界に達し、その価格は高騰して利用できなくなると予想されます。

2)原子力は事故時のリスクが甚大である
原子力は火力発電や太陽光・風力発電など他の発電技術と比較すると事故時のリスクが非常に高いものです。発電を停止しても核燃料は高温のままであり冷却が必要になり、冷却には時間がかかります。ひとつの原子力発電所の規模はおよそ100万kWであり、事故は必然的に大規模になります。2011年の東日本大震災のときには、津波が原因で原子炉のメルトダウンと水素爆発が生じて、半径数百キロの地域が崩壊する崖っぷちでした。このことにより、多くの人が原子力事故のリスクが甚大であることを思い知らされました。 加えて、設計寿命を超えて稼働する老朽原子炉の安全性の問題もあります。

3)原子力は廃棄物の処理ができない
発電に伴う放射性廃棄物の処理を含め、原子力の長期にわたる安全かつ経済的な管理・処理技術はいまだ存在しないのが現状であり、そのようなエネルギー源を将来にわたり主要電源とすることは適切ではありません。 原子力は発電を停止しても燃料棒は高温のままであり、これは時間をかけて冷却するしかありません。輸送できる程度に冷却したら、核廃棄物として処理するわけですが、核燃料サイクルという核廃棄物の処理の技術は破綻しています。実際に、核燃料サイクルは高速増殖炉の開発中止と核燃料再処理施設の27年にわたる稼働延期のために破綻しています。積み上がるプルトニウムがいつまで許されるのかも問題です。

4)原子力はコストが高い
原子力は新設も稼働も、その温室効果ガス排出削減コスト(温室効果ガスの排出を単位量減らすのに必要なコスト)は再エネや省エネよりも高いのです。このことはすでに第7次エネルギー計画のなかでも示されています。さらに寿命が尽きた後の廃炉のコストは不明確であり、高コストになると予想されます。すなわち、温暖化対策として原発に投資することは経済的に非合理で、逆に温暖化対策を邪魔して遅らせます。
原子力は安全性の強化のため更なるコストの上昇は避けられません。新規小型原子炉の開発が進められていますが、現状ではその発電コストは高いものです。量産性がありコスト低下の期待ができるとも言われていますが、量産の規模は世界でせいぜい数千基であり、太陽光や風力の量産性には及ばず、このためコスト低下の可能性は大きくありません。また新規の原子炉はその建設に数十年単位の時間がかかり、2050年の期限までに温室効果ガスの削減に大きな寄与はできそうにありません。
 最近は洋上風力のコストの上昇が話題になりました。資材コストの高騰により計画通りに実現できないとして、三菱商事は秋田県沖と千葉県沖に予定していた洋上風力プロジェクトから撤退すると発表しました。もともと入札時の想定コストが他のグループより異常なほど低いため入札に成功したのですが、その撤退の原因である資材コストの高騰は、原子力の発電設備にも影響を与えるため、原子力のコストが再エネのコストより高いことは変わりそうにありません。

5)安全保障の面から原子力は必要なのか
日本は、将来は核兵器を所有するために原子力を放棄することはできないという主張があります。日本は非核三原則を放棄し、核拡散防止条約(NPT)から離脱しなければ核兵器を持つことはできません。NPTから離脱して核兵器を所有すれば、日本は北朝鮮・パキスタン・インド・イスラエルなどの国と同じような存在になり、国連安保理決議による経済制裁の対象となり、これはほぼ全世界を敵に回すことになります。また原子炉そのものは有事の際には攻撃を受ける目標になり、原子炉の存在自体が問題になります。防災庁を創設する案がありますが、東日本大震災の経験から考えると、地震や津波など防災の点からは、防災庁を創設する際にはまず原子力を放棄することが必要と思われます。 湯崎英彦・広島県知事は2025年8月の広島平和記念式典で「核抑止はフィクションである」と喝破しました。日本は核抑止の論理を推し進めれば核兵器を持つことに繋がっていきます。唯一の被ばく国である日本は、核兵器開発につながる可能性もある原子力発電所を止めるとともに、核兵器を保持する国々に対しては「核兵器の放棄」を訴え、世界全体で核兵器廃絶に向けて、できることは何かを考えていくことが必要です。
(回答者:槌屋治紀)


Q5: 政府も企業もSDGsには熱心ですが、気候危機やエネルギー問題も含めた持続可能な国家計画のようなものはきちんと作成されているのでしょうか。
   
A5: 1992年の地球サミットで採択されたアジェンダ21では、持続可能な開発(発展)のスローガンのもと、その内容を国ごとの政策に反映することが期待され、EUやドイツなど諸外国も、それぞれの持続可能な国家発展計画を策定してきました。日本では、環境分野については環境基本計画が策定されており、これが日本における持続可能な国家発展計画とされ、国連に登録されてきました。しかしながら、すべての政策分野を含めた国家レベルでの上位計画としての持続可能な国家発展計画は策定されていません。なお、2015年に策定された国連の持続可能な発展目標(SDGs)に関しては、内閣に設けられた「SDGs推進本部」において2017年から「SDGsに関する自主的国家レビュー」が作成され国連社会経済理事会に提出されていますが、これは単にSDGs目標に関する日本の現状を整理・統合したもので、作成の過程での政策調整は行われていません。(回答者:一方井誠治)
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Q4: 一人ひとりの個人が省エネや再エネで頑張っても大きな効果はないのではないですか。
   
A4: そんなことはありません。世界中の全ての人が大なり小なり二酸化炭素(C02)を排出しながら生活しているため、もし世界中の人々が何の対策もとらなければCO2は増え続けるばかりです。特に私たち日本人は途上国の人と比べて数倍のCO2を出しており、同じ地球に生き、子どもたちにより良い地球を残そうとする人間として、より大きな責任を果たすことが求められています。
一人ひとりの取組の効果は小さいかもしれませんが、日常生活の中にある多くの無駄をなくし、地域の環境保全活動などにも参加すること。社会の一員として行政や政治家に対して声をあげ、気候問題解決に役立つ政策を創るように強く働きかけること。さらに消費者として再生可能エネルギーで発電している電力会社に契約変更したり、環境問題に不熱心な企業やあたかも環境に配慮しているような広告・宣伝をする(グリーン・ウォッシュ)企業の製品やサービスは買わないこと。これらによって、政治家や行政、企業も変わらざるを得ない状況になります。そして、CO2を出し続けてきたこれまでの私たちの暮らしだけでなく、政治・社会・経済の仕組み(システム)を変えていくことにつながります。
地球市民としての自覚を持った私たち一人ひとりの意識と行動が、社会を変える第一歩となります。(回答者:藤村コノヱ)
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Q3: 地球温暖化に伴い、近年既に記録的な猛暑や気候災害が多発し、健康被害を始め気候変動による様々な影響が、世界中で深刻になってきていますが、冷房システムの導入や農作物の品種改良などの適応策を徹底すれば、私たち人間の生活は可能になるので、過度に心配する必要はないのではないですか。
   
A3: 適応策は必要ですが、それだけでは不十分です。
気候変動問題が悪化しつつある現在、すでに、世界中で熱波や豪雨、森林火災などが起こり、多くの人々が被害を受けてきています。このような喫緊の問題に対し的確な対策を打っていく必要があります。しかし適応策には限界があります。適応策は温暖化に伴う悪影響を当面やわらげることが目的であり、地球温暖化の原因である温室効果ガスの排出削減を目的としたものではないので、それだけでは生態系も含めた地球環境そのものの劣化を止めることができないからです。問題に抜本的に対処する緩和策が必要な所以です。 (回答者:一方井誠治、森秀行)
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Q2: 気候変動問題の解決は大事かもしれませんが、大多数の国民は物価高や老後、若者も将来の暮らしなどに不安を感じており、そちらの方が差し迫った問題ではないのですか。
   
A2: 「気候変動の問題」と「日常生活に直結する問題(物価高、老後、将来の暮らし)」の優先度をどう考えるかは、重要な問いです。結論的には、気候変動問題の解決は、物価高・老後不安・将来の暮らしとも密接に関わっており、長期的にも短期的にも「差し迫った重要な問題」であり、国民生活への直接的な支援と並行して進める必要があります。(回答者:松下和夫)
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Q1: 環境の専門家たちは、「気候変動は重大な危機」と叫んでいますが、本当に「重大な危機」なのですか。本当に重大と言われる根拠を教えてください。
   
A1: 重大な危機です。
20世紀後半から人類未経験の急激な地球温度上昇が観測され、それに伴う気象災害が日本国内だけでなく世界中で多発し、健康被害も発生しています。CO2などの温室効果ガスの排出を続ける限り温度は不可逆的に上昇し、人力では止められなくなる可能性も予測され、そうなれば生態系も人類も持続不可能です。(回答者:西岡秀三)
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