環境教育・環境学習推進法に関するQ&A

  1. Q:既に、さまざまな人たちによって、環境教育や環境学習は熱心に行なわれていると思いますが、なぜ、いま、環境教育や環境学習を推進させる法律が必要なのですか?
  2. Q:環境教育・環境学習は、自発的に行われるもので、法律などで縛るものではないと思うのですが。
  3. Q:「持続可能な社会に向けた」環境教育・環境学習とはどういうものですか?
  4. Q:協議会が提案する法案の骨子案の特徴は何ですか?
  5. Q:学校の授業で「環境教育」を行う場合に、どのような取り上げ方がありますか?
  6. Q:「学校教育では、週4時限以上環境教育を行わなければならない」とありますが、ここでいう「環境教育」とはどのようなタイプのものをさしているのですか? また、小・中・高校の12年間、ずっと週4時限以上環境教育を行うのは不可能ではないでしょうか?
  7. Q:学校での環境教育は、すべての教科等、学校の教育活動全体で取り組む、とされていますが、その場合の問題点を教えてください。
  8. Q:法案の骨子案には、「住民は、地方公共団体が行う「環境教育」に参加し、又はこれに替わる環境学習を行うようにしなければならない」とありますが、住民に強制的に環境教育・環境学習を義務付けるということでしょうか?
  9. Q:「環境教育・環境学習推進法をつくろう!推進協議会」とはどのような団体ですか?



Q:
既に、さまざまな人たちによって、環境教育や環境学習は熱心に行なわれていると思いますが、なぜ、いま、環境教育や環境学習を推進させる法律が必要なのですか?
A:
確かに、様々な人が様々なところで様々な形で実施しています。しかしそれにもかかわらず、地球温暖化やオゾン層破壊などの地球環境問題、廃棄物などの国内の環境問題ともに改善されてはいません。「環境の世紀」といわれる21世紀に入っても、むしろ、悪化の一途をたどっています。
この状況を打開するには、諸対策の根底となる環境教育・環境学習をさらに強化する必要があります。現状の「熱心に取り組む学校、地域、企業等はやるけれど、そうでないところはほとんどやらない」という状況から、社会のあらゆる場面で、より一層、環境教育・環境学習を推進し、全ての人が持続可能な社会の構築に向けて、自ら選択・行動できるように社会的な仕組みを整備することが欠かせません。
情報公開が進み、地方自治への市民参加が進んでいる現在だからこそ、全ての人に等しく環境に関する教育・学習の機会が与えられることを強く後押しする、枠組みとなる法律を一刻も早く制定したいのです。

Q:
環境教育・環境学習は、自発的に行われるもので、法律などで縛るものではないと思うのですが。
A:
当初、私たちもそう考えました。しかし、このままの状況では、私たちのライフスタイルも経済のやり方も基本的には変わらず、環境の悪化はますます深刻化し、持続可能な社会など望めません。
また、「熱心に取り組む学校、地域、企業等はやるけれど、そうでないところはほとんどやらない」という状況も変えることはできないでしょう。
私たちが提案しているのは、既に行われている環境教育・環境学習が社会全般にゆきわたるよう、より推進する、あるいは新たに始める人がよりやりやすくするための「枠組み」「しくみ」を作って欲しいというものです。

Q:
「持続可能な社会に向けた」環境教育・環境学習とはどういうものですか?
A:
持続可能な社会については、様々な意見がありますが、私たちは次のように考えています。
「持続可能な社会とは、環境面での取り組みが進んだ社会であるだけでなく、経済的側面、人間・社会的側面においてもバランスが取れた社会。すなわち、(1))有限な地球環境の中で、環境負荷を最小限にととめ、資源の循環を図りながら、地球生態系を維持できる社会であること。また、(2)社会経済システムにおいて、費用と便益のバランスが取れた状態であり、市場経済においても長期的な視点が重視され、長期的なコストをいとわない社会であること。さらに、(3)人間・社会という観点からは、一人ひとりの市民が自立し、健康で文化的な生活を営むだけでなく、自然・次世代、他の地域などとの関連性を持ち、多様な豊かさを実感できる市民社会であること」と、考えています。
そして、このような社会を実現するための環境教育・環境学習とは、「現在の社会のあり方を見直し,持続可能な社会を構築するためには,家庭,学校,企業,地域社会などにおける日常生活や業務の中で,今日の様々な環境問題の状況を理解し,その要因を自らの暮らしや活動,さらには自身の価値観や社会経済活動のあり方と関係づけて捉え,持続可能な社会の構築に向けて選択・行動・参画できる人材を育成する教育・学習活動の全て」と考えています。
しかし、こうしたことを考えていくのもこれからです。みんなで「持続可能な社会に向けた環境教育・環境学習とはどんなことをやるのか」をかんがえることも、その第一歩だと思います。

Q:
協議会が提案する法案の骨子案の特徴は何ですか?
A:
すでに環境教育・環境学習を行っている方々にはさらに積極的に行っていただくように、そして環境教育・環境学習に関わっていない方々にもその機会が満遍なく提供されるように、この法律が「社会のあらゆる層で環境教育・環境学習が推進されるための枠組みを定めた法律となること」を考え、以下に示す事項を本骨子案に盛り込んでいます。
•各分野での環境教育・環境学習をさらに広げ、「環境」「経済」「人間・社会」のバランスの取れた持続可能な社会に向けた学習活動として意義付けたこと
•「学校、地域社会、職場」など、社会のあらゆる場を環境教育・環境学習の行われる場と設定したこと
•国および自治体は「環境教育・環境学習」の内容には言及せず、その推進のための基本方針、実施のための実施方針、および環境教育・環境学習の将来にわたる実行のための組織の整備、人材の育成を行うことを義務付けたこと
•既に実施している人や民間団体との連携の強化を盛り込んだこと
•社会での環境教育・環境学習の進捗状況に柔軟に対応するため、5年後までに法律の見直しを行うとしたこと

Q:
学校の授業で「環境教育」を行う場合に、どのような取り上げ方がありますか?
A:
学校での環境教育は、すべての教科等、学校の教育活動全体で総合的、相互関連的に取り組むことが大切ですが、それぞれの教科には、教科としての目的があることから、取り扱いや展開のしかたはさまざまです。ここでは、環境教育を授業に導入する場合の取り上げ方を次のように整理してみました。
1.授業直結型:生活科、社会科、理科、保健、家庭科では、授業のねらいや内容が環境教育に直結する部分が多くあります。そのような内容を扱う場合は、教科の授業がそのまま環境教育の授業になるわけです。
2.教材使用型:国語科や英語科のように、授業のねらいは別にあっても、それを理解させるための教材に、地球環境問題を扱った読み物を使うなどがこのタイプです。
3.視点導入型:授業のねらいや内容は環境教育と直接関係がないものでも、そこに環境教育的な視点を加えて、授業をふくらませることで、教科のねらいを達成しつつ、環境教育にも迫るタイプです。
4.能力育成型:授業のねらいや内容は環境教育と直接関係がなくても、環境問題の解決に必要な、問題解決能力、数理的能力、情報処理能力、コミュニケーション能力、環境評価能力などの開発につながるなら、それも広義には環境教育の一翼を担っているといえます。
5.主題型:環境教育的な内容を授業の主題として取り上げる場合で、一般には、総合学習の時間などを使って、特定のテーマで、学習者が主体的に行うタイプです。
6.なお、このタイプは授業以外に、クラブ活動や文化祭といった学校の特別教育活動で実施するのにも適しています。

Q:
「学校教育では、週4時限以上環境教育を行わなければならない」とありますが、ここでいう「環境教育」とはどのようなタイプのものをさしているのですか? また、小・中・高校の12年間、ずっと週4時限以上環境教育を行うのは不可能ではないでしょうか?
A:
時間にカウント出来るタイプとしては、Q5のタイプ1~5のうち、5の主題型のみを対象にすることが適当と考えます。
また、ここでいう「週4時限」とは、「必ず毎週4時限行う」のではなく、年間を通じて全体で週あたり4時限以上となるように行うということです。

Q:
学校での環境教育は、すべての教科等、学校の教育活動全体で取り組む、とされていますが、その場合の問題点を教えてください。
A:
一番大きな問題点は、環境教育そのものが、体系化されず、系統的な学習活動が行われない、ということではないでしょうか。各教科がバラバラに行う現状では、指導者によって、内容やその深まりにばらつきが多すぎます。
また、学校全体としての取り組みには、管理職の考え方や指導力にも大きく左右されると聞いています。
このような問題点の解決には、一日も早く「環境」関係の教科が新設され、専門性の高い指導者によって、児童生徒の発達段階に応じたカリキュラムで、系統的な指導ができることが望ましと、私たちは考えています。

Q:
法案の骨子案には、「住民は、地方公共団体が行う「環境教育」に参加し、又はこれに替わる環境学習を行うようにしなければならない」とありますが、住民に強制的に環境教育・環境学習を義務付けるということでしょうか?
A:
そうではありません。
あくまで,地方公共団体は住民に環境教育・環境学習に参加する機会を等しく与える,という意味で,住民にその参加を強制するものではありません。

Q:
「環境教育・環境学習推進法をつくろう!推進協議会」とはどのような団体ですか?
A:
本協議会は「持続可能な社会のための環境教育・環境学習推進法の早期成立を目指すこと」を目的とし、その目的に賛同するあらゆる個人・団体により構成されています。詳細は本ホームページ内の協議会についてをご覧下さい。